出会と好敵手

それは俺が高校の時の話。
高校は偏差値ド真ん中の一般的な公立進学校。中学の時はろくに勉強もしなかったけど昔から絵を描くことが趣味で小中と絵で賞なんかを貰ったりして周りも美術の方向で行くことを推してたこともあって近くの美術科がある学校に進学した。
入学式、俺は大きなアルタートケースを片手に登校した。可愛らしい女の子が俺のアルタートケースを見て「私もあんなのが欲しかった」と言った。


それがあなたとの出会い。


次の日、あなたが同じクラスで同じく美術科の生徒だった。クラスの9割が女子だったのでとても心細い心境だったが、小中と一緒で仲の良い友達Nがいた、Nも俺と同じで絵を描くのが好きなやつだった。Nが居たおかげで少し心強かったが、いつでもライバルな奴だった。
学校にだいぶ馴染んだ頃、俺とNとあなたとその友達のTさんと男女4人で合コンよろしくのグループでつるむようになっていた。
つるむようになってから薄々気づいていたが、Nとあなたは以前から面識があるようだった。というのも、Nの妹がダンスを習っていてそのダンススクールにあなたがいたということだった。親同士も仲が良かった。
なんだか俺は、そんなNに嫉妬していた、常にライバルなNに先を越されたと。
ある日、Nが「放課後プラモデル見に行こうぜ」と誘ってきた。学校の近くには古いプラモデル屋があり中学の頃から2人でよく通っていたのだ。俺は特に用事がなかったので行く約束をした。放課後になったのでNを探しに行くとあなたと二人っきりで美術室で楽しそうに話していた。普通ならお楽しみのところ邪魔してはいけないんだろうけど、この時の俺はあなたのことが気になっていたし、ライバルのNに先を越されたくないと教室に入ってNに「プラモデル見に行くぞ。」と呼びかけたがNは話を誤魔化してあなたと話し続けた。

イライラした俺は走って帰った。
家に帰るとLINEの通知が来ていた、それは4人のグループの会話で楽しそうに話す俺以外の3人だった。ひとり取り残された様な俺はそのLINEのグループを抜けた。

次の日学校でNが俺に謝ってきたがNが俺にしたように俺はNを無視した。

 

この時を最後に俺は学校で完全に孤立した。