再始動

2年生が始まる。がクラスは変わらない。担任も同じ。

なんの新鮮味もないまま敷かれたレールをひとつ進んだ。

2年になると俺ら美術科の生徒は専攻を選ぶことになっており、デザイン、日本画、油絵の3つからひとつ選んで所属することになる。美術科の男子の俺とnとhの3人はしょっちゅう部活をサボりながら遊び、専攻は先生が勝手に決め皆バラバラになった。俺はデザイン科、nは油絵、hは日本画だ。そしてここちゃんは日本画だった。デザイン科は先輩の3年が女子6人、2年は俺と5人の女子の6人合わせて12人のデザイン教室でこれから絵を描いて行くことになった。

男子は俺だけだ。nもhも同じく独りだった。

それぞれの科には非常勤講師が一人ついていることになっており、デザイン科の講師は厳しいおばさんで

先輩も皆恐れながらデザインを考えているようだ。

俺はひとりだけ男の空間は非常に苦しいし、課題の度に案を100個要求され、面倒くさくサボることが多かった。サボった分だけ怒られたが真面目にやった時は評価された。サボっているが評価されている自分が気に入らなく思ったのかデザイン科の女子は皆俺の事を嫌った。

女子達らは自分の評価を下げるようなことを講師に言ったり、いわばいじめのようなものをしてきた。

俺は芸術をやってる奴で本当に芸術を楽しんでる奴は1割もいないと思った。ましてやこの科にはいない。芸術は自分そのものでそれを描く。故に自分を評価してもらいたいという醜いプライドの塊達だ。もちろん俺もその一人に過ぎない。くだらないと思いながら一匹狼を続ける。そんな自分が好きだった。

非常勤講師は俺の事を認めてくれる一面もあったが常勤の講師はあまり評価してくれなかった。

ここちゃんは音楽科の子と仲良くなり、日本画ではhが場を和ませ割と楽しくやっていそうだった。

今の俺にはそれだけでよかった。