評価

「嫌いなものを描く」ことによって嫌いなものを克服していくという俺なりの作品への答えだった。

自分から生み出せば怖くない。自信が湧いてくる。

美術科の作品は皆展示会に出されたくさんの人に見られた。妙な顔をしながらも自分の絵に立ち止まってくれる人がいた事に感動した。

その展示会で一番を取ったのはここちゃんだった。

女の子とひまわりを描いたもので、華やかと言うには程遠くどことなく不気味ではあったがデッサンや先生が求めている基礎の部分は素晴らしい出来であった。

お互いの作品について話した時に自分の作品が素敵だと言ってくれた。

こんな自分の醜いものを叩きつけたような絵を素敵だなんて真逆の褒め言葉だ。

でも嬉しかった。そう言われたのは初めてだったから

ここちゃんの作品について教えてもらうと女の子は妹だそうで、妹がいたことは初めて知った。

話によると妹は障害者で自分は妹に思ってもないような酷いことばかり言っているが、本当は好きだという気持ちを描いたそうだ。

割と泣けるエピソードだった。

自分の中の醜さをぶつけたことに共通点を感じたが故に素敵だといってくれたのかはよくわからないが、

絵を描いたらまた見せてと一言残して去っていった。